弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所の弁護士呉裕麻です。
当事務所においても、ファイル共有ソフト「BitTorrent(ビットトレント)」を利用したことによる発信者情報開示請求や損害賠償請求に関するご相談が急増しています。本記事では、昨今メディアで頻繁に取り上げられているこの問題について、時系列に記事を紹介しながら状況を整理し、2026年1月6日の読売新聞報道における当事務所の関わり、および法的観点からの注意喚起を行います。
1.メディア報道に見る「トレント問題」の拡大(時系列紹介)
ビットトレントを用いた著作権侵害の問題は、ここ数年で急速に社会問題化しており、複数のメディアや公的機関が警鐘を鳴らしています。以下に、主要な報道や注意喚起を時系列で振り返ります。
① 2024年11月:東洋経済オンライン 2024年11月の段階で、すでに弁護士による解説記事が掲載され、ビットトレント利用に伴う損害賠償請求が増えていること、そして「自分が加害者になっているなんて知らなかった」と後悔するユーザーがいることが指摘されていました。

② 2025年7月:総務省の注意喚起 事態を重く見た総務省は、令和7年(2025年)7月、「ファイル共有ソフトの不適切な利用による著作権侵害に関する注意喚起」を発表しました。この中で、プロバイダに対する開示請求の約95.6%が、特定のファイル共有ソフトを用いたアダルト動画の著作権侵害事案であるという衝撃的なデータが公表されました。

③ 2025年8月:朝日新聞 朝日新聞は、アダルト動画の違法ダウンロードに伴い、制作会社がユーザーを特定し、開示請求を行うケースが相次いでいると報じました。裁判で認められる相場(数万円程度)よりも高額な数十万円規模の示談金を請求されるケースがあることにも触れられています。

④ 2025年11月:プロバイダ(BIGLOBE)からの警告 大手プロバイダであるビッグローブ株式会社も、利用者に対して注意喚起を行い、意図せず著作権侵害の当事者となり高額な賠償請求をされるトラブルが急増していることを伝えています。

⑤ 2025年12月:INTERNET Watch 技術系メディアでは、「忘れられた技術」であったP2Pソフトで今何が起きているかという特集が組まれました。現在は権利侵害を発見する検知システム(P2P Monitor等)が登場しており、匿名性はなく、比較的簡単に発信者情報開示請求につながる現状が解説されています。

⑥ 2026年1月:読売新聞 そして直近の2026年1月6日、読売新聞にて、大手プロバイダ5社への開示請求が2024年度だけで約47万件(推計)に上ったことが報じられました。

2.2026年1月6日 読売新聞報道の取材協力について
前述した2026年1月6日の読売新聞の記事(「無料でアダルト作品をダウンロード」すると自動で違法動画を投稿…匿名投稿者の情報開示請求が急増)において、取材を受けている当事者の方は、弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所の依頼者様です。
本記事の取材にあたっては、この問題の実態を正しく社会に伝えるため、当事務所が取材依頼に応じ、依頼者様のご協力を得て実現いたしました。
3.トレントユーザーへの注意喚起
最後に、法的な観点から改めて注意喚起をさせていただきます。
「BitTorrent(ビットトレント)」という技術やソフトの利用自体が違法なわけではありません。しかし、他人の著作物(今回問題となっているアダルト動画や、アニメ、映画など)を、権利者に無断で侵害するような方法で利用することは違法です。
トレントの仕組み上、以下の点に極めて高いリスクがあります。
- 「ダウンロード=アップロード」であること トレントはファイルを細分化してユーザー同士で共有する仕組みです。あなたが動画を「ダウンロード」しているつもりでも、同時に裏側では別のユーザーに対してファイルを「アップロード(送信)」しています。
- 意図せず「加害者」になってしまう 私的使用目的でのダウンロードのつもりであっても、同時に行われるアップロード行為は「公衆送信権の侵害」となり、違法行為となります。これにより、多額の損害賠償請求や刑事告訴のリスクを負うことになります。
この記事をご覧になったトレントユーザーの方は、ご自身の利用方法がトレントを通じた違法な利用となっていないか、今一度強く再確認してください。
