【2026年10月最新情報】ITJ法律事務所からの通知書の体裁・内容が変更されました~従来の通知書との違いと、受け取った方が確認すべき点について~

この記事を書いた弁護士
代表弁護士 呉 裕麻(おー ゆうま)

出身:東京  出身大学:早稲田大学
2008年に弁護士登録後、消費者案件(出会い系サイト、占いサイト、ロマンス詐欺その他)、負債処理(過払い、債務整理、破産、民事再生)、男女問題(離婚、不倫その他)、遺言・遺産争い、交通事故(被害者、加害者)、刑事事件、インターネットトラブル(誹謗中傷、トレント、その他)、子どもの権利(いじめ問題、学校トラブル)、企業案件(顧問契約など)に注力してきた。
他にも、障害者の権利を巡る弁護団事件、住民訴訟など弁護団事件も多数担当している。

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この記事のポイント

ITJ法律事務所の名義で届く通知書の体裁と内容が、従来とは異なるものになっていることを確認しました。

当事務所が確認した2026年9月付の通知書は、従来の「和解の案内」中心の構成から、損害額の計算と支払期限を明示した「損害賠償の請求」の形に変わっています。

確認した2通からは、計算した損害額が88万円を超える場合は88万円、下回る場合は計算した実額を請求する扱いがうかがえます。

なお、従前の通知書の体裁や内容については以下の記事に詳しく解説していますのでご確認ください。

▶コチラ

従来、通知書に「ご案内とお願い」「よくあるご質問」が添付され、包括和解(88万円)または個別和解(8万円)の和解案内が中心でした。

今回、損害額の計算(送信可能化による損害額+開示手続等の費用)を示したうえで、請求額が示されています。確認した例では、計算額が約55万円の通知書は計算額のとおり約55万円、計算額が約386万円の通知書は88万円の請求でした。

88万円を2週間以内に全額支払った場合は、書面の日付までの同社の他の著作物に係る請求も行わないとされています。

本記事では、両者の違いを整理したうえで、通知書を受け取った利用者の立場から、確認・検討すべき点をまとめます。

通知書の変更について(お知らせ)

当事務所が確認した通知書は、2通です。共通する内容は次のとおりです。

内容

作成者:弁護士法人ITJ法律事務所(制作会社の代理人)

日付:2026年9月

構成:通知書(本文)。別紙1「監視記録に基づく侵害事実の報告書(要点)」が添付。

請求の対象:制作会社が著作権を有する作品について、公衆送信権(著作権法23条1項)および複製権(同法21条)の侵害を理由とする損害賠償

なお、次の点にご注意ください。

■ 本記事は、当事務所が確認した2通の通知書をもとにしており、すべての通知書が同じ体裁・内容に変わったとは限りません。また、今後、さらに通知書の体裁が変わることもあり得ます。

■ 従来の通知書に添付されていた「ご案内とお願い」「よくあるご質問」は、今回確認した書面には含まれていませんでした。別の書面として送付されるのかどうかは、現時点では確認できていません。

■ 個人情報や案件を特定できる情報(作品名、日時、IPアドレス等)は、本記事では掲載していません。金額は概数で記載しています。

従来の通知書と今回の通知書の違い

項目従来の通知書今回確認した通知書
書面の構成通知書+「ご案内とお願い」+「よくあるご質問」通知書(本文)。別紙1(監視記録の報告書・要点)が添付
請求の形和解の案内(包括和解88万円、または個別和解8万円)損害賠償の請求。

損害額を計算して示し、請求額を決めている
金額の示し方和解金の額のみ。算定根拠は書面上示されないのが通常でした計算上の損害額を示す。

計算額が88万円を超える場合は88万円、下回る場合は実額の請求とする扱いがうかがえる

(確認した例:計算額約386万円→請求88万円、計算額約55万円→請求約55万円)
回答・支払の期限2週間以内にご連絡到達後2週間以内に、指定口座へ全額を支払い
和解の条件・清算の範囲表明保証・違約金(110万円)などの条項が案内されていました88万円を期限内に全額支払った場合に限り、書面の日付までの同社の他の著作物(本件以外を含む)に係る請求を行わないとの記載。

支払確認後に、解決した旨の確認書面を送るとの記載。

減額を確定的に承諾するものではない旨も記載
個別和解(8万円)案内あり確認した通知書には記載なし
技術的な根拠通知書本文に詳細な記載はありませんでした別紙1に、監視記録の要点を記載
不払いの場合告訴や民事裁判に移行する可能性(FAQ)訴訟提起を含む法的手続を検討。

訴訟では遅延損害金・弁護士費用相当額・調査解析費用も請求
刑事に関する記載FAQに記載あり(直ちに刑事事件となるものではない旨など)記載なし
連絡先通知書記載の連絡先弁護士への依頼済みの場合は、書面を依頼中の弁護士に渡し、以後の連絡は当該弁護士宛

※「従来」は、当事務所がこれまでに確認してきた通知書およびその添付書面の内容です。

今回、新たに示された内容

1. 損害額の計算と、請求額の決まり方

通知書には、損害額が「送信可能化による損害額」と「開示手続等の費用」の合計として示されていました。

確認した2通の例は次のとおりです(金額は概数です)。

項目例A例B
① 開示手続等の費用(弁護士費用・実費・監視記録の技術的解析費用)約43万円合計額に含めて記載
② 送信可能化による損害額(著作権法114条に基づき算定)約12万円合計額に含めて記載
計算上の損害額(合計)約55万円約386万円
請求額約55万円(計算額のとおり)88万円(計算額が88万円を超えるため)

計算額が88万円を下回る例Aでは計算額のとおり、88万円を超える例Bでは88万円が請求されています。

いずれも

①は複数の費用を合計した金額であり

②は著作権法114条に基づく

とだけ記載され、同条のどの項によるか、算定の式や前提(送信の回数・期間など)は書面から読み取れません。

2. 88万円の支払いに付された条件(例B)

到達後2週間以内に、88万円の全額を支払った場合に限られます。

この場合、書面の日付までに行われた、通知人が著作権を有する著作物(本件以外を含む)に係る侵害行為について、その余の請求を行わないとされています。

支払いを確認した場合は、その旨および本件が解決した旨の確認書面を送るとされています。

期限内の全額支払いを条件とする取扱いであり、請求額の減額を確定的に承諾するものではない旨が明記されています。

3. 別紙1「監視記録に基づく侵害事実の報告書(要点)」

1通に添付されていた別紙1には、次のような項目が表の形で記載されています。

■ 対象となるIPアドレスと、その記録期間

■ 接続回数、通信記録の件数

■ 使用されていたクライアントソフト

■ 全ピース(ファイルを分割した断片のすべて)の保有が確認された時刻、保有通知の回数、保有後の接続回数

■ 監視用クライアントへの送信件数

■ 観測期間と、期間中に確認された共有端末のIP数

これらは、ダウンロードの完了後も、他の利用者からの接続を受けられる状態にあったことを示そうとする記載と読めます。ただし、「要点」とされており、元になった記録そのものは添付されていません。

利用者側の評価(1):請求が具体化した点

従来の通知書と比べて、今回の通知書は請求の内容が具体的になっています。利用者の立場から見て、受け止めるべき点は次のとおりです。

1 金額が計算して示されました。

    和解の選択肢(個別8万円・包括88万円)ではなく、損害額を計算したうえで請求額が示されています。

    計算額が88万円を超える場合は88万円、下回る場合は実額を請求する扱いがうかがえます。

    確認した例では、約55万円(計算額のとおり)と88万円(計算額約386万円)でした。1作品あたりの水準は、従来の個別和解(8万円)とは大きく異なる場合があります。

    2 88万円の位置づけが変わりました。

    従来は包括和解の案内額でしたが、今回は、請求額が88万円を超えない形で運用されているように見えます。

    88万円を全額支払った場合は、書面の日付までの同社の他の著作物に係る請求も行わないとされています。

    3 期限と支払方法が明示されました。

    到達後2週間以内、指定口座への全額支払いと、期限が具体的に書かれています。

    分割払いに関する記載は、確認した範囲ではありません。

    4 技術的な根拠が添付されました。

    監視記録の要点が示され、事実関係を具体的に主張する形になっています。

    5 訴訟時の追加請求が明記されました。

    不払いの場合は、訴訟提起を含む法的手続を検討し、訴訟では遅延損害金、弁護士費用相当額、調査・解析費用を併せて請求するとされています。

    この書面だけで、訴訟になる可能性の高さを判断することはできません。

    ただし、請求の具体性が高まっていることから、訴訟への備えも含めて、早めに対応方針を検討する必要があると考えます。

    利用者側の評価(2):確認・検討すべき点

    一方で、通知書の記載だけでは分からない点や、検討の余地がある点もあります。

    1 損害額の算定根拠

      計算上の損害額が、著作権法114条のどの項に基づき、どのような前提(送信回数、期間、単価など)で算定されたのかは、書面から読み取れません。

      計算額が88万円を下回る場合は、その額がそのまま請求額になるため、算定根拠の確認は支払額に直結します。計算額が88万円を超える場合の請求額は88万円ですが、訴訟になった場合は、この計算額に基づく主張がなされることも考えられ、算定の妥当性が争点になります。

      2 開示手続等の費用の相当性

      例Aでは約43万円が計上されています。この費用が、損害として認められる範囲かどうかは、個別に判断される問題です。費用の内訳(弁護士費用、実費、解析費用)も示されていません。

      3 記録期間と責任の範囲

      別紙1の記録期間は、観測期間全体と比べて限られています。対象IPアドレスによる送信がどの範囲で確認されたのかは、損害額や責任の期間を検討するうえで重要です。

      4 別紙の「要点」にとどまる点

      元になった監視記録そのものは示されていません。記録の詳細を確認する必要があるかどうか、検討が必要です。

      5 88万円を支払った場合の効果の範囲

      確認した例では、書面の日付までの同社の他の著作物に係る請求を行わないとされています。

      一方、

      ①他の制作会社からの請求には及びません。

      ②書面の日付より後の行為は対象になりません。

      ③通知書には表明保証や違約金の記載はありませんが、支払い前に別途の合意書が示されるのかは確認できていません。

      支払う前に、確認書面の内容を含めて確認する必要があります。

      6 従来の個別和解(8万円)との関係

      今回確認した通知書には、個別和解の記載がありません。計算額が88万円を下回る場合に実額が請求される扱いは、作品数が少ない場合の金額が、従来の個別和解の水準と異なり得ることを意味します。

      個別和解が今後も利用できるのかは、現時点で確認できていません。

      7 支払方法

      確認した例では、2週間以内の全額支払いが条件とされています。分割払いの可否は、書面からは分かりません。

      これらはいずれも、「請求に理由がない」という意味ではありません。請求の根拠をどこまで確認できるかを整理するための論点です。

      受け取った方の対応

      ① 書面を保管する

      通知書、別紙、封筒、受け取った日を記録しておきます。

      ② 期限を確認する

      通知書には「到達後2週間以内」と記載されています。期限を過ぎた場合の相手方の対応は予測できません。

      ③ すでに弁護士に依頼している場合は、書面をそのまま渡す

      通知書にも、依頼済みの場合は書面を依頼中の弁護士に渡すよう記載されています。当事務所の依頼者の方は、届いた書面をそのまま当事務所にご共有ください。

      ④ ご自身で支払う前に確認する

      計算額が88万円を下回る場合は算定根拠を確認したうえで支払額を検討します。88万円の場合は、書面に記載された清算の範囲(書面の日付までの同社の他の著作物)が及ばない請求(他の制作会社、書面の日付以後)があることを、確認書面の内容とあわせて確認してください。

      ⑤ ほかの書面の有無を整理する

      同じ制作会社や他の制作会社から届いている意見照会書・通知書がないか、一覧にしておくと判断しやすくなります。

      示談するかどうか、訴訟に備えるかどうかは、通知書の内容だけでなく、これまでの届き方やプロバイダのログ保存期間などを踏まえて個別に判断する必要があります。

      ご相談窓口のご案内

      通知書の内容についてご不明な点がある方は、次の窓口をご利用ください。

      ■ リーガルレスキュー(無料)

      LINEまたはお電話で、事務局が状況をお伺いし、弁護士が「今は様子を見てよい状況か」「弁護士への相談を検討すべき状況か」について簡易な見立てをお伝えします。

      デジタルコンシェルジュ(無料:チャット型AI)

      当事務所の掲載記事をもとに、AIが一般的な情報をお答えします。回答は参考情報であり、弁護士による個別の法律相談ではありません。

      弁護士による法律相談(有料)

      30分22,000円(税込)です。ご依頼の際は着手金に充当します。詳細は費用のご案内をご覧ください。

      お問い合わせは、当事務所のHPにある「お問合せフォーム」から、またはお電話(0120-464-659、平日9:00〜17:00)までお願いいたします。

      よくある質問

      1 従来の「個別8万円・包括88万円」の和解は、もうできないのですか。

      確認した通知書には、個別和解(8万円)の記載はありません。一方、88万円は、計算した損害額が88万円を超える場合の請求額(および、全額支払いによる解決額)として記載されています。今後、従来の個別和解が維持されるのかは、現時点で当事務所は確認できていません。確認でき次第、お知らせします。

      2 請求された金額は、そのまま支払う必要がありますか。

      請求額は相手方の主張であり、算定根拠が書面上は十分に示されていません。計算額が88万円を下回る場合は計算額が請求額となるため、特に算定根拠の確認が重要です。支払うかどうかは、算定根拠、支払いの効果、他の請求との関係を整理したうえで判断してください。

      3 88万円を支払えば、すべて解決しますか。

      確認した例では、88万円の全額支払いにより、書面の日付までの同社の他の著作物に係る請求を行わないとされています。ただし、他の制作会社の請求や、書面の日付以後の行為には及びません。支払い前に、確認書面の内容を含めて確認してください。

      4 2週間の期限を過ぎると、すぐに訴訟になりますか。

      期限を過ぎた場合の相手方の対応は予測できません。通知書には訴訟提起を含む法的手続を検討するとありますので、期限は意識して対応してください。

      5 別紙1の数字は、何を意味しているのですか。

      監視記録の要点です。接続回数や共有端末のIP数などは、相手方が確認したとする事実の概要です。個別の事案での意味は異なりますので、お手元の書面を持ってご相談ください。

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